北海道、日本最北の積雪・寒冷地という環境のなかで、1970年代までは、年間の暖房に5,000〜7,300リットルの灯油を必要とする家が数多くありました。
それだけ暖房しても、厳冬期はストーブの周囲だけが暖かく、トイレ、お風呂、寝室などは震える寒さ…。家族の健康、家計の負担、環境負荷などが大きな課題でした。

そうした課題を解決するためには、

  1. 断熱・気密性能強化のために必要な建材の性能向上
  2. 断熱・気密・換気・暖房に関する設計・施工者の正しい知識と技術
  3. 住宅性能の重要性を理解し、コスト負担できる建て主の存在
  4. 高断熱・高気密住宅普及促進のための行政の支援策

など様々な壁がありました。

道内の住宅会社、研究機関、建材メーカー、そして現場の大工さんをはじめとする技能者は長年研鑽を続けてきました。そして1988年に、北海道は住宅の高断熱高気密化を軸とする、北海道の気候風土に根差した質の高い住まい「北方型住宅」を設定。

2022年現在では、道内の住宅は、年間の暖房用灯油消費量は1,000リットル前後にまで省エネを実現し、同時に家全体が温度むらのない、健康で快適な住まいを建てる住宅事業者が増えています。

一般社団法人北海道ビルダーズ協会もその一翼を担っています。
2008年、北海道建設部の呼びかけをきっかけに、北方型住宅の普及、そしてより良好な住環境の形成を目指す住宅建設、住宅供給、住宅設計を行う事業者、並びにその関連事業者で構成される団体として結成(当時の名称は北方型住宅ECO推進協議会)しました。

そして国土交通省が長期優良住宅やゼロエネルギー住宅などに補助を行う「地域型住宅グリーン化事業」の採択事業者として、当協会会員のビルダーや設計事務所、木材・製材関連事業者などと連携し、良質な住まいづくりを広げる取組を進めています。

累計では20億円を超える、住宅の高性能・高品質化に関する補助金を、道内で家を建てる方に届ける形で、建て主様だけでなく、住宅会社のサポートにも寄与しています。

積雪・寒冷地北海道では、高断熱高気密の推進や、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の普及などに関しても、他の都府県以上の努力が必要です。
北海道ビルダーズ協会は、設立以来、行政に対し、北海道の住宅業界が前進を図るために必要な要望などを独自に発信する政策提案団体としてさまざまな提言活動を行ってきました。

今後も、大工をはじめとする技能者の育成、カーボンニュートラル(脱炭素)の推進、建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入、非住宅建築物の木造化など、取り組むべきさまざまな課題があります。こうした課題に対しても産官学一体となって積極的に取り組んでいきます。